「親がいないからできなくなる、をなくしてあげたい。」自立援助ホームLEAPホーム長/中嶋亮太さん

2.利用者のしごと観の育成

木下

他に、何か先生が課題として感じられている点があれば教えてください!😶

中嶋さん

やっぱり目指すところは彼らの自立、つまり一人暮らしをしていけるようになることなんですけど、それこそこの間ワンステップセミナーでお話し頂いたように、福岡市の25歳男性の平均生活費は16万1000円と言われているわけですよね💰

※4「ワンステップセミナー」・・・”児童養護施設をこれから退所する子どもたちが、一人暮らしに必要なノウハウや予備知識を市民のボランティアと共に学ぶプロジェクト。”NPO法人スマイリーフラワーズ主催。
ワンステップセミナー (smileyflowers.link)
中嶋さん

そうなると一定の安定した収入を確保することが必要なんですけど、実際に20歳を迎えたり、それ以前であったとしても、退所する時点できちんと正規の就職をしていて、安定した収入が見込まれる利用者っていうのは限りなく少ないんです。

多くは、非正規、アルバイトで頑張りながらなんとかシフトを増やしてもらったり、ダブルワークしたりしてギリギリの状態で退所して行ってるんですね🤔

そうですよね・・・😢

中嶋さん

退所後もその延長で生活している利用者がほとんどです。

中嶋さん

自立援助」ホームでありながら、「自立の準備が出来たから一人暮らしを始めます」という利用者より、20歳になったからホームを退所して一人暮らしを始めますというケースの方が多いような気がします。

中嶋さん

そういった時にやっぱりきちんと仕事が出来てない子が、貯蓄もない状態でホームを出なきゃいけないとなると、寮完備の仕事に就くことになって、でも結局その仕事も仕方なく選んでたりするので、結局その仕事を辞めちゃって、行き場をなくした子からどうしたらいいか相談が来たり・・・😔

木下

帰れる実家が無いってほんとに大きなことですよね・・・

中嶋さん

むしろ3万5千だけ納めていればよかったホーム時代の方が経済的に余裕があって一人暮らししてからは本当にギリギリになっちゃって、お米だけもらいに来るような子がいたりとか、電気を止められてホームに充電をしに来る子もいたりとかそういうことも過去にはあったりしました。

木下

・・・😭

利用者居室の様子
中嶋さん

大学出たての新卒の子たちが就職をするのと違って、みんなスーツを着てしっかり面接受けに行って~、とかじゃないので、彼らが一定の水準で生きられるようにするためには、ある程度の仕事につないでいくことが重要だと思っています。

中嶋さん

とはいえ仕事であればなんでもいいというわけではなく、利用者にとってやりたくない仕事は避けるわけです。

中嶋さん

でも、年齢的にも学歴的にもやれる仕事がそれしかないという現実があるのも事実なんですね・・・。

中嶋さん

なので、もうちょっと幅広い職種彼らの年齢から、そして彼らの学歴からであってもチャレンジしていけて、将来的にはきちんと自分の仕事として続けていけるよう、職業の選択肢っていうのを増やしていかないといけないなと感じています🔑

木下

先程中嶋さんもおっしゃられていましたが、「みんなスーツを着てしっかり面接受けに行って~とかじゃない」要因ってどこにあると思われますか・・・?

木下

やっぱり条件っていうところがネックになってるんですかね・・・?🙄

中嶋さん

ん~、退所後の生活につなげていくという観点から協力していただいている企業さんは実際にいらっしゃってですね。

中嶋さん

出身、キャリア、学歴関係なく、しっかり働きたいということであれば、自立援助ホームの利用者であっても十分一人暮らしもできるよねっていう待遇で受け入れてくださる会社さんもいくつかあったりとか🏢

中嶋さん

ただ、今対象となってる利用者さんがその仕事に就きたいと思うかっていうところにマッチングの難しさがあるというか。

中嶋さん

自分の人生として職業を選択していくうえで、「この仕事を正社員でするくらいなら、こっちの仕事をアルバイトでする」っていう選択肢に変わってしまったり・・・😅

木下

んー、そしたらやっぱり彼らが選択できる仕事を増やすこと、受け皿をもっと広げることが今必要なことですよね💡

中嶋さん

そうですね。

中嶋さん

実際、働き口のひとつにお寿司屋さんがありました。

木下

(お寿司屋さん・・・いいなあ・・・🥺)

中嶋さん

昨今すし職人のなり手が減ってきているというのもあって、とあるお寿司屋さんのオーナーさんから、若い子でも頑張りたい子がいたら、っていうお話を頂いたんです🍣

中嶋さん

十分やれる仕事だとは思うんですが、利用者さんに紹介したところ、「あまり難しいこととかもわからないし、体を動かす仕事じゃないとできない」という声が上がりました。

木下

うーん・・・😢

中嶋さん

「働く」ということに対して、「子ども」の意識で見た時のハードルの高さと、企業さんの「働き手として担って欲しい」という思いがうまくマッチすると本当にいい関係になっていけるのかなと思うんですけど・・・🤦‍♂️

中嶋さん

上手くマッチした例がないわけではないんですよ。

中嶋さん

前に大分の自立援助ホームで働いていた時、近くにこじんまりとした畳屋さんがあって。

中嶋さん

大勢の人が働くような場所ではちょっと難しい、っていう利用者さんが、その畳屋さんの環境に上手くはまって、そこの畳屋さんに就職して自立をしていきました✨

木下

おお、すごい!!!おめでたいですね👏

中嶋さん

あとは仕事と出会うツールとしてハローワークがあると思うんですけど、

木下

ありますね。

中嶋さん

年齢で検索すると山ほど出てくるので、選べなくなるっていう💭

木下

あああ・・・

中嶋さん

求人票を見て自分の経験のあったり知ってる仕事ならイメージできるんですけど、紙に書かれている文章での仕事って全く想像できない

木下

文だけ読んでも理解が難しい部分だらけだと思いますし、仮に知っていても実際にやってみると違うな、ってことも多分にありますしね・・・🤦‍♀️

中嶋さん

なので、体験を通して一回仕事を知るっていうのは大事なのかなっていうのは思います。